HxMap エアボーン画像と LiDAR データの同時処理
Leica Geosystems の高品質・高性能の全てのエアボーン・センサーは、もう一つ共通点を共有しています。これらは、膨大な取得データを処理するために、高性能マルチセンサーワークフロー統合プラットフォームである HxMap を使用しています。HxMap の高速データ処理は、可能な限り最短時間で広いエリアを更新します。
HxMap のデータ処理の汎用性とメリットを掘り下げるために、製品マネージャーの Felix Rohrbach がこの多目的機能のソフトウェアプラットフォームについて説明しています。
HxMap による処理の流れ
Leica HxMap は、ユーザーの処理ニーズに基づいて個別のソフトウェアモジュールを提供します。モジュールは LiDAR と画像データの一般的な処理ワークフローに沿って、ユーザーを直感的にガイドします。LiDAR と画像データは、同一のデータダウンロード、生データの品質管理、データインジェストを持ち、前処理ステップ全体を通して設定されています。センサー固有のモジュールには、空中三角測量、放射測定調整、LiDAR 点群レジストレーションが含まれます。HxMap のモジュールアプローチはワークフロー全体を通してユーザーをステップ毎にガイドし、LiDAR と画像データの処理にはほとんど差異がありません。
HxMap ワークフローの最終ステップである製品生成は、ボタンを押すだけで、以下のような大量の製品を出力します。
参照画像
オルソフォト
着色された点群と無色の点群
テクスチャ付きとテクスチャなしの 3 次元都市モデル
これらの機能は、大型の斜め空中写真プロジェクト、全国規模のオルソフォト、LiDAR マッピング、小型のエンジニアリングプロジェクトなどの基礎となり、データ取得に使用されるセンサーモデルに関わらず、完全なスケーラビリティを提供します。
HxMap は、Leica Geosystems の幾つかのソリューションの重要な要素です。これらのソリューションを説明していただけますか?
私たちは、データ取得とデータ処理の組み合わせをエアボーン・リアリティキャプチャと呼んでいます。Leica Geosystems では、 HxMap と特定の用途に適したエアボーン・センサーを組み合わせてエアボーン・リアリティキャプチャ・ソリューションを作成しています。これにより、ユーザーはプロジェクトに使用する Leica Geosystems エアボーン・センサーから独立したインフラ処理を、最高の効率と完全なスケーラビリティで実現することができます。
RealCity は、HxMap 付の LiDAR と Leica CityMapper または CityMapper-2 のハイブリッド・オブリークイメージングを組み合わせたものです。このソリューションは、3次元都市モデリングアプリケーションに理想的で、2 次元イメージング、LiDAR 点群、3 次元都市モデルを作成します。
RealWorld は、 Leica DMC III フレームカメラセンサーと HxMap 付の組み合わせです。このペアは、 2次元の広いエリアのイメージングプロジェクトに最適です。
RealTerrain は HxMap をLeica TerrainMapper および Leica ALS80 リニアモードLiDAR センサー、またはLeica SPL100 シングルフォトン LiDAR センサーと組み合わせたものです。この組み合わせは、地域的および全国的な LiDAR マッピングプロジェクト用に設計されました。
HxMap 内には、特定用途のためのモジュールが幾つかあります。これらのモジュールを拡大することはできますか?
HxMap はユーザー独自のニーズを満たすために、モジュールを追加してパーソナライズできます。
HxMap Provider Module は収集データの読み込み、前処理用のインジェスト実行、ジオリファレンスの適用、品質管理を行うための結果の視覚化などの必須機能を提供します。プロバイダーモジュールは、さまざまな処理ステップでユーザーをガイドする主なアプリケーションであるワークフローマネージャーも含んでいます。データはマップビューに読み込むか、詳細の検査のために特定のビューアモジュールに読み込むことができます。
HxMap Core Imaging Module は、画像データセットの処理に不可欠な機能を提供します。堅牢な自動ポイントマッチングは、全ての視野方向から収集した必要な画像間の点結合を生成します。空中三角測量では、画像の方向を最適化するために計測を使用します。HxMap は、複数の空中三角測量アルゴリズムと斜めデータセット向けの階層処理モードを提供し、ユーザーが今まで見たこともない大規模なマッピングプロジェクトを処理します。HxMap の空中三角測量は、常にユーザーがカメラのキャリブレーションに任意のずれ角度を直接適用することを可能にします。
HxMap Core LiDAR Module は、LiDAR データの処理に必要なすべての機能セットを完備しています。シンプルなワンクリックの LiDAR キャリブレーションがセンサーのパラメーター調整を計算し、その後の処理に更新されたプロジェクトキャリブレーションを出力します。ラインからラインへのレジストレーションは、プロジェクト全体を通して品質の一貫性を改善します。ユーザーはいつでも内蔵の QA ツールを実行し、単一ラインまたは完全プロジェクトのデータ品質を評価できます。
HxMap 3D Modeller Module は以前のモジュールを補完します。3D モデリングアルゴリズムが画像と LiDAR データを独立データセット、またはハイブリッドデータとしてまとめ、3 次元の建物形状を抽出します。HxMap は、建物生成のために既知のビルのフットプリントを提供するか、以前の情報が全くない状態で直接、建物生成を実行することを可能にします。点クラスまたは画像データから計算された植生指数などの提供されたデータセットの追加情報は、抽出された建物の品質を改善するために使用されます。
HxMap はどのようにユーザーにメリットを提供しますか?
HxMap は、単一の共通インターフェースでユーザーが全ての既知のデータ製品を作成することを可能にする迅速、直感的、効率的な後処理プラットフォームです。これは以下につながります
完全なスケーラビリティ
エアボーン地形 LiDAR センサーとイメージングデータの統合処理ワークフローである HxMap では、ユーザーはプロジェクト成果物から独立したインフラ処理を使用することができ、必要に応じてインフラ処理を拡大・縮小する完全な柔軟性を入手し、あらゆる製品を作成できます。モジュール機能はユーザーに投資を低く抑えるオプションを与え、必要に応じてインフラを拡大し、完全な処理能力を使用し続けることを可能にします。
時間とコスト削減
スタッフは一つのユーザーインターフェースに習熟するだけで、既知の任意のエアボーンデータ製品を作成することができ、作成要員は、画像と LiDAR データをトレーニングなしで処理できます。ソフトウェアパッケージ間でデータを移動して時間を浪費することなく、一つのエンドツーエンド・ワークフローのメリットを得られます。比類ないデータ処理能力
業界で最速のデータ処理能力を利用して、あらゆるデータ量をより効率に処理できます。HxMap は、一秒当たり600万点を取得する SPL100 のデータを処理できることが実証されており、膨大なデータセットを構成することで知られています。
現在、ユーザーが現場で抱えている課題で HxMap がこれを克服するためにできることはありますか?
私が始めた時を振り返ってみると、一台のワークステーションの処理環境が普通でした。写真測量または LiDAR 専門家が、全ての処理手順をローカルで実行するために必要なあらゆるデータやソフトウェアが搭載されたマシンの前に座っていました。一度起動されると、処理が完了するまで待たなければならず、その後次の手順を開始しました。
課題 1:データ量
今日では、いかなる近代的なセンサーでも膨大なデータを生み出します。元の CityMapper のおおまかな方法では、1 時間のデータ収集で、3TB の生データが作成されました。過去数年間に、このデータ量は数倍になりましたが、顧客の納期と最終顧客の納期は変わっていません。サイズが増加したのにもかかわらず、データには検査と処理が必要で、許された納期内に納入する必要があります。HxMap の分散処理能力のおかげでこれが実現可能になりました。
課題 2:データ処理サイロ
分散処理への移行により、新たな問題点が生じる可能性もあります。画像と LiDAR センサーの両方を操作する場合、両ワークフローにアップスケーリングが必要になる可能性があります。サイロ付きの処理環境を設定するということは簡単に聞こえるかもしれませんが、データ入力が止まった途端にリソースがフルに利用されないという状況に繋がります(例、悪天候のため)。HxMap のハイブリッドワークフローのおかげで、分散処理は、データ種類に関係なく利用可能な能力を使用するように設定可能な単一の複合環境にセットアップできます。
課題 3:人的労働力
最後の課題は、当社の処理クラスターでは取り扱えない任意のワークフロー手順です。多くの品質管理手順は、データが必要な品質に一致するかどうかを評価する専門家により実行されています。最初の問題は、データが多くなるにつれ、処理能力を確保するためにより多くのスタッフが必要になります。しかし専門家を発見することは、困難かつコストがかかります。HxMap は、グラフィックの表示と顧客の品質指標のレポートを通じて収集データの品質評価を支援することで、平均的なユーザーでもデータセットを評価できるようにします。処理専門家がチームリーダーになり、重大なエッジケースのみ相談されるようにします。
今日の市場は自動化に重点を置いています。HxMap はどのようにこの次の技術の前線を支援するでしょうか?
自動化への重点は、上記の課題のロジカルな結果です。以前の手動タスクを自動化処理ステップに変えることで、私たちは単一のワークステーションでタスクを実行するだけではなく、直接、処理クラスターへ送ることもできます。時間、金銭、トレーニング努力を節約する他に、現在の仕事量や納期に従って、作成ステップをスケールアップすることもできます。HxMap はセンサーキャリブレーション、自動ポイントマッチング、ラインからラインへのレジストレーション、建物生成、その他の処理タスクでこれらのメリットをサポートしています。以前、これら全ては面倒な手作業で行っていましたが、現在は HxMap ワークフロー内で自動的に実行できます。
HxMap は将来、業界をどこへ導くでしょうか?
最近の 1 プロジェクト当たりの画素数と点増加のトレンドは続くことでしょう。これはより高い解像度でプロジェクトが行われるだけではなく、HxGN コンテンツプログラムのようなサービスとしてのコンテンツ (CaaS) イニシアチブが成長しているからです。UAV が測量グレードの小規模データ取得ニーズを満たし始める間、航空測量は、地域、全国、大陸データ取得に向けて移行しています。
データ品質を妥協することなく、処理手順を自動化する革新的な方法を発見することは、手作業をスケーラブルな分散作業に変換するために不可欠です。CityMapper センサーで収集されるようなハイブリッドデータの使用は、複数のセンサー種類から情報を結合することでデータ品質を改善すると期待されています。私たちの都市モデリングエンジンは、 高品質の 3 次元製品の効果的な作成に LiDAR と画像技術の両方の利点を使用する良い例になっています。
現在のワークフロー効率の向上の他に、私たちはユーザーが HxMap 内で生成できる製品範囲の拡大を検討しています。私たちの仕事は、Hexagon 全体のイニシアチブおよび買収により新しい技術にアクセスし、当社のユーザーのためにこれらを革新的な製品に変換することです。
Felix Rohrbach は、Leica Geosystemsの HxMap 製品マネージャーです。
エアボーンマッピング業界で豊富な経験を持つ Rohrbach は、写真測量と LiDAR 処理ソフトウェアの開発と採用を担当しています。